「女子美術大学 デザイン·工芸学科 ヴィジュアルデザイン専攻 卒業制作」は、2020年度に本学を卒業した学生たちによる集大成となる卒業研究・制作を紹介するサイトです。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本年度のヴィジュアルデザイン専攻の講義やゼミはオンラインに移行しました。本サイトでは、このような特別な環境下で制作された学生たちの卒業制作をご紹介しています。
コロナ禍によってステイホームを余儀なくされ、学内でのコミュニケーションの機会を失われた学生たちは、自らと向き合う時間を長く過ごすことになりました。かつて経験したことのない環境の中で、学生たち一人ひとりが社会のあり方や、自らの生活、制作について考え、時に頭を悩ませた経験は、それぞれの卒業制作にも反映されています。
一方で、本来であれば語られるはずであった多くの言葉たちは、いまも個人の中に眠ったままになっているかもしれません。本サイトでは、卒業制作のヴィジュアルやコンセプトの紹介にとどまらず、その背後にある学生たちの内なる「言葉」を記録することを試みています。
この特別な一年を過ごした学生たちの思考や実践の痕跡を「言葉」として残すことによって作品への理解を深めて頂くとともに、学生たち一人ひとりの表現者としての葛藤や成長の記録をご覧頂けると幸いです。
本サイトには、学生たちの卒業制作のヴィジュアルとともに、学生同士による「問い」と「答え」のやり取りが記録されています。
「問い」は、「社会」「生活」「制作」というフォーカスの異なる3つのカテゴリに分かれており、これらはすべて学生たちによって立てられたものです。さらに学生たちは、各カテゴリから「問い」を任意に選び、それらに対して自らの言葉を綴りました。
学生たち自らが問いを立て、選び、答えるという一連のプロセスに参加してもらうことで、この1年間に実現することが難しかった同級生同士の対話に近い状況を生み出し、一人ひとりのリアルで親密な「言葉」を集めることを試みました。
コロナ禍によって初めて見えてきた「社会」の姿、ステイホームによって大きく変化した毎日の「生活」、そして、これまでにない環境下で向き合った「制作」——。
マクロからミクロへと徐々にフォーカスが絞られていく「問い」と「答え」のやり取りを追っていくことは、卒業制作という大学生活の集大成とも言える成果を、そして、大きな変革期を迎えている社会の様相を、深く理解するための補助線となるはずです。